お別れ
そこそこ長い期間訪問マッサージをさせて頂いていた方(Aさん)が、
つい最近亡くなりました。
在宅での看取りを耳にすることがありますが、
訪問マッサージに行くなかで
担当している方が自宅でそのままお亡くなりになる事はほとんどありません。
体調が悪くなり入院してしまう
在宅での介護が難しくなり、遠くの施設へ入所してしまう
こういった理由で訪問マッサージが打ち切りになってしまうことがあります。
そうするとお亡くなりになったことを知らないこともよくあります。
Aさんの場合は担当のケアマネさんが連絡をしてくださり、そのおかげでお通夜に出席することができました。
うれしかったこと
やさしい笑顔の写真が飾ってあり、まだまだ元気なころの様子を思い出すことができました。
まだ自宅で生活していた頃、ヘルパーさん・訪問看護・訪問リハビリ・そして訪問マッサージ。
様々な職種の方が関わる中で、訪問マッサージの時間が一番良いと笑顔で言っていただきました。
本当に嬉しかったです。
なんとか歩けていました
私の場合は、マッサージだけでなく軽い運動もしていただきます。
もちろん90代後半だったAさんも。
様々な方の関わりのお陰で
施設の方が困ってしまうぐらい
ギリギリまで歩くことができました。
変化
年々衰えていくことは仕方がないことかもしれません。
ですがその衰えは一直線ではなく、
時にズドーンと大きく衰えてしまうことがあります
Aさんの場合は
子供さんの死
施設への入所
食べ物や飲み物の制限
デイサービス
これらによって、そのたびごとに状態が大きく悪化していきました。
入所タイミング
一人暮らしだったAさんは、
少し早いかなというタイミングで施設へ入所しました。
一人暮らしであれば
誰かの助けを借りながらではあっても
色々なことをしなければいけません。
ご飯の準備
お風呂の準備や入浴
ゴミ捨て
電話や来客への対応
仏壇参り
施設へ入所してしまうと、こういったことのほとんどをする必要がなくなります。
やらなければならないことがない生活になります。
これが身体的にも、精神的にも頭脳的にも悪影響でした。
介護サービスをうけながら、
一人暮らしをしている場合の入所タイミング。
そのむつかしさを実感しました。
好きなものも大切
また身体機能が落ちてきて、
誤嚥や転倒のリスクの観点から
お菓子や飲み物の制限が始まりました。
もともとはピーナツやチョコレートが好きで
冷蔵庫をあければそういったものが所狭しと並んでいました。
状態の低下とともに、口の中に残渣があったり
食事中のむせ(誤嚥)が増えてきたり。
このリスク対策として
一人でいるときに飲食をさせないようにと
冷蔵庫の中のものが片付けられました。
また飲み物はAさんの好きな炭酸系のジュースではなく麦茶などのお茶がほとんどになりました。
このことにより、室内を歩くことが急激にへりました。
これまでは口さみしくなると、
一日に何度も冷蔵庫まで歩いていました。
もちろん手すりにつかまり、不安定な状態ではでしたが。
それがなくなることで、下肢の筋力低下が進み
また膝の伸びがさらにわるくなりました。
食事はしっかり食べているとのことでしたが
見るからに痩せていきました。
座りっぱなしは悪
そうこうしているうちに
日中も見守りが必要と判断され
デイサービスに通うようになりました。
各種のリスクはこれで軽減されます。
ほかの人とのかかわりで、変化もでるかも。。。
ところがデメリットもありました。
それは一日中、車いすに座ること。
座る姿勢もよくなく、また姿勢を自分で変えることもむつかしい。
そうしているうちに、ベッド上での座位保持さえ難しくなってしまいました。
これらの変化は、リスク管理の面からも仕方ないことです。
それでも、もっとやりようもあったのかなと思ったりしています。
参考にならない
ここに書いたことはAさんの場合をみてのことです。
ご家族と住んでいる場合、
身体、認知レベル
人と交わることが好きかどうか
などなど。
様々な条件で介入の程度やタイミングは異なるでしょう。
そして介入の結果がどうでるかも人により様々。
訪問マッサージをする中で、変化に対応していくことは大切。
その変化の度合いは人それぞれ。
これまでの経験が生きることもあれば
あだになってしまうことも。
Aさんとかかわる中で得た経験も
Bさんには参考にはなりません。
また一から自分で感じて考えて確かめながらやっていくしかないのかもしれません。
それでもありがとう
お通夜の席で、手を合わせながらでてくるのはただただありがとうの言葉だけでした。